11/02/19 ABOUT DARK BLUE LEATHER

今日は次にADDICT CLOTHES NEW VINTAGEで発売されるダークブルーレザーについて話したいと思います。

世間一般ではあまり多いとは言えないダークブルー/ネイビーのレザージャケットですが、
ルイスやハイウェイマン等のヴィンテージジャケットに興味のある方なら、
既にこのカラーは見慣れた色だと思います。USヴィンテージの歴史を見てみると、
1番多いのはもちろん黒、2番目に多いカラーは茶色です。
その為昔からアメリカ製の物を多く見慣れているライダースファンからすると、
ライダース=黒か茶という意識が強いと思います。
しかしカラージャケットが多く発売された70年代のイギリスでは黒に続く色は紺(ダークブルー)でした。
もっと明るいブルーや昨日のブログで紹介したターコイズブルー等も打ち出していましたが、
洋服としての着易さを考えた時に、当時黒に続いて多く支持されたのがダークブルーカラーです。
確かに洋服として見ても、黒いパンツにダークブルーのライダースというのは、上下黒ほど重くなく、
青やターコイズブルーほど派手じゃなく、
当時のイギリスから現在の日本まで幅広く人気がある理由が良くわかります。
日本人がブルーデニムばかり履いていることからもわかりますが、どうも日本人は潜在的に青が好きみたいですね?

以前雑誌のインタビューやブログでも言いましたが、
私が十数年前に初めて買ったルイスのヴィンテージもダークブルーカラーでした。
それまで古いライダースと言えば、黒や茶が多く形も自分の好みに合わないと思っていたのですが、
初めて買ったそれは着丈も長く程よく細身で10代の私には衝撃でした。
その当時の新品のデザイナーズブランドではなく、
数十年前にリアルバイカーが着ていたジャケットがこんなに服としてかっこいいなんてすごい事ですよね。
逆に言うと、当時リアルに着ていた物だから今これだけかっこいいのだと後に気がつくわけですが、
この辺は長くなるのでまた今度。
ラインナップの中に紺や青があったのも、
私がバイク用ではなくファッションとしてのめり込んでいった理由だと思います。
昨日のブログでも書きましたが、
この時代のダークブルーやブルー、ターコイズブルーのジャケットには他には無い魅力があります。
このブログを呼んでいる方の中には、同じことを感じてのめりこんだ人も多いと思います。

ヴィンテージでは同じダークブルーでも質感や色味など様々です。
ほとんど黒に近い場合もあれば、青に近い場合もあります。
店頭にあるヴィンテージレザーのダークブルーだけでもこのように違いがあります。

このサイズの画像ではわかりにくいかもしれませんが、
左のヴィンテージジャケットはツヤがかなり多く少し赤みがあります。右は逆にマットな感じですね。

右もダークブルーですが、少し暗いところで見るとほぼ黒に見えるくらい濃い色です。
個人的にはこれも好きですが、
左は少し青の強い、私が最も好きな色あいの70’sダークブルーです。
このジャケットはミントコンディションで試着くらいしかされていない状態なのですが、
これはほとんど着用されていない状態でも、
革製品に多い悪い意味での新品感が無く、ツヤも程よくあって、実際の革の質感もしなやかで着易いです。

そこで既にご紹介済みのダブルライダースで使用する為に別注した革がこちらです。

上の左の画像と比べるとわかると思いますが、かなり良い雰囲気に持っていくことができました。
ダブルライダースを作るのに3度サンプルを作ったと以前のブログでも言いましたが、
革もその度に改良して3回目ですごく良い雰囲気に仕上げることができました。
もちろん実際に2つを比べるとカウハイドとホースハイド、
厚みや重量が違うので全く同じではありませんが、満足できる仕上がりです。
着用するにつれ、ホースハイド特有のツヤが出てよりいっそう雰囲気が出ると思います。
馬革と言うと、昔多かった硬くて鎧みたいな馬革イメージする人も多いようですが、
上のヴィンテージのようにしなやかで着易い馬革です。

十数年前にヴィンテージライダースに魅せられ、私は今まで誰よりも多く良いジャケットを見てきたと思います。
扱ってきた数は既に1000着をゆうに超えています。
その分理想が高く自らハードルを上げてしまい、ジャケット製作を始めてからは今まで以上にライダース、
または素材である革と向き合う時間が増えました。
普通なら考えられないくらいの時間を1つのジャケットに費やしていますが、
自分が昔感動した物を十数年後に追求して世に出し、同じ物が好きな方達に喜んでもらえていると実感しています。
正直な所、ジャケット作成を始める前に比べ現在のほうがより一層苦労は増えましたが、
良い物が出来たときの感動と、認めてもらえた実感が得られると、
増えた苦労を差し引いてもその苦労はそんなに悪いものではないですね。

工場に戻していたダブルライダースのサンプルですが、20日日曜日から再度展示することが可能になりました。
まだ予約は受け付けていますので、ご興味のある方はぜひ実物をご覧になってください。

ADDICT CLOTHES NEW VINTAGE 
石嶋  聡