11/04/13 AD-04 SHEEPSKIN RIB SLEEVE CENTER ZIP JACKET

今までいくつかのモデルを発売してきたADDICT CLOTHES NEW VINTAGEのレザージャケットですが、
素材や細かなディティールは変更してあるものの、
全てイギリスの伝統的なモーターサイクルジャケットのデザインがベースになっています。
私はヴィンテージが専門なので、
今後も物作りのベースはデザインなり素材なりヴィンテージから触発される部分が多いのは間違いありません。

しかし新しく物を作る以上、そこには今作る意味が必要だと思います。
そもそもオールドヴィンテージと全く同じ完全なレプリカはまず作れません。
かなり似ていてもその道のコアなファンが見れば違いは一目瞭然です。
であれば、似たデザインでもより良い素材や着心地、シルエット等、改良すべき部分は徹底的に改善し、
残すべき良い部分はできるだけ再現するのが、私が作るライダースです。
その為私はジッパー1つでも気になってしまいます。
こだわり抜いて満足のできるジャケットができ私も毎日のように着ていますが、
それでも今の物より着心地やシルエットが良いとは言えないOLD VINTAGEですが、
独特の存在感や魅力が薄れることはありません。それがヴィンテージのすごいところですね。

ジャケットを作成するようになり、自分の求める革や染色方法を求めて日々研究奔走していますが、
今までのヴィンテージジャケットとして出来上がった状態の革ではなく、
原皮での状態や、染色の終わった後の1枚革で革を見る機会が多くなりました。
そもそも良い革というのは余りにもありきたりです。
簡単に言うと同じ革なら傷がないものが良い革で等級も高いのですが、
今やデニムだけではなく、レザージャケットや靴にもユーズド加工をする時代です。
私の中では傷の有無での革の良し悪しはあまり重要ではありません。
むしろ新品のジャケットを下ろした後は早く傷がついて欲しいくらいです。
昔はどちらかというと厚くて少し硬いくらいの革が良いという風潮がありましたが、
現在のファッション業界では逆のような気がします。
あまり厚くて硬い革は疲れますし、結果的に多くの人は着なくなってしまいます。
更にこの辺は一概には言えず個人の好みも大きいです。

それでは良い革というのはどういうことでしょうか? 

私の考える良い革とは、一言で言うと適材適所です。
自分達が作りたい、もしくは欲しいと思う物に合った革をどれだけ見つけることが、作ることができるかだと思います。
ただ高い革を使えば良いという訳ではなく、目指す製品にあった素材を見つけるのが大事です。
その為に色々な革業者さんや、タンナーに行き理想の革を求める日々が続いているのですが、
ヴィンテージを意識したライダースには向いていないけれど、とても上質なシープスキンを去年見つけました。
その革で作ったジャケットが今週の土曜日16日から発売になります。


ADDICT CLOTHES NEW VINTAGE SHEEPSKIN RIB SLEEVE CENTER ZIP JACKET
Black Size 34,36,38,40 

襟付きシングルライダース風のデザインですが、袖口がリブになっています。
胸に切り替えしが入り、ポケットはドミネーターやネブラスカのような縦のハンドウォーマーポケットがあります。
裏地はヴィンテージで極少量存在するピンクのコットンキルティングです。
中綿は入っていませんので、今の時期はもちろん、夏と真冬のアウターとして以外は着用可能です。

私はブログでも店頭でもライダースをシャツのように着ると言っています。
最近はかなり理解されるようになりましたが、
昔からシングルはもちろんダブルのライダースもジッパーを開けていつも着ているとよく不思議がられました。
昔は今よりも多くの人がジッパーを上まで閉めて着るのがライダースの着方だ。みたいな感じがありましからね。
袖口以外はシングルライダースですが、袖口がリブになるだけで印象や着用用途も大きく変わります。
ライダースと違いシャツのように袖を肘辺りまで捲くることもできますので、
柔らかく軽量の革と薄手の裏地も相成って今から夏前までと真冬以外は着用できるジャケットです。

そして今回のジャケットを作成した最も大きな理由はこの上質すぎるレザーとの出会いです。
ライダースに使うにはきれいすぎるので使用しませんが、
同じデザインでウン十万するようなインポートブランドが使っているような素材です。
ある程度決まったブランドしかこのレベルのシープレザーを使えない理由は、
それだけ流通量が少なく一部の革業者やタンナーでしか手に入れることができない為です。
この素材で、シンプルで季節を問わずいつでもシャツのように着られるジャケットが欲しいと思い製作しました。
OLD VINTAGEや今までのNEW VINTAGEのラインナップとは少し違ったテイストですが、
この上質な素材でライダースの雰囲気が感じられる日常着ができ満足しています。

同時に同じシープスウェードを使用したバージョンも発売されます。
こちらのスウェードも表革同様上質でとても良い肌触りです。

とにかくこの革の良さは実際に見て着てみなければわかりませんので、ぜひ足を運んでみてください。

明日は同時に発売する、ADDICT CLOTHES NEW VINTAGEの新色ブルージャケットのご紹介をしたいと思います。

ADDICT CLOTHES NEW VINTAGE  
石嶋 聡