16/01/08 理念

昨日のブログでNEW VINTAGEというコンセプトに触れましたが、
今日は以前途中まで書いていた記事に今の気分を付け加え、書き上げようと思います。

今はネット売買が普及していますので、昔に比べ不要になったものを売ることが容易になりました。
自分達が作った製品を末永く愛用してもらえるのはとても嬉しいことです。
でも時には趣味が変わったり飽きたり、色んな理由で手放すことは多々あるはずです。
その人にとって必要なくなったのであれば、どこかで自分達の製品が売られることに何の抵抗もありません。

ただ私達にとって重要なのは、元のオーナーが手放した後別の誰かがそれを気に入って愛用してくれるかです。
1度不要とされたものでも、また別の人の目には魅力的に見え新たなストーリーが始まるような製品を作りたいと常々考えています。
それが最初のオーナーから2人目、3人目と受け継がれていくと本当にうれしいですね。
ビジネス的には大いに矛盾していることではありますが。。

他のアパレルメーカー同様私達も、レザージャケットや、ブーツ、デニムパンツに革小物など、
色々な製品を作っています。
年に2回展示会を開きそれに基づき毎月リリースされる製品が決まるのですが、
一般的なアパレルメーカーと違い、製品ラインナップの7割くらいはいつも似たような物です。
完全に新しい物になると1割くらいでしょうか。

これは手を抜いているわけではなく、自分達が自信を持ってお勧めできる物、更には去年自分達が作って、
みなさんに買ってもらった製品に対する保証のような感覚です。
去年自分達が良いと思って作って売ったものは、今年も良いに決まっています。
流行を全く無視はしないし、無意識にエッセンスは取り入れていると思うけど、
自分達が持っているアイデンティティーやバックグラウンドは変わりようがないし、
変えるつもりもありません。
もちろん新しい経験をして別のことに興味が出たり、長い年月を経て価値観の変化はあるだろうけど、
私達はその都度違う本当のお勧めを作ることができません。
自分の店で売っている物はいつでも全てお勧めです、と言い切りたいし
お客さんにも自分達自身にも誠実であり続けたいと思います。

今年で最初にお店を作ってから10年が経ちました。
とにかく好きなヴィンテージを極めたい、そして自分が惚れ込んだヴィンテージよりも更に良い製品を作りたい、
と思い続け歩んできた10年でした。
もちろんそれはこれからの10年も継続していきますが、
次の10年のうちに自分達、そしてみなさんがより楽しめる形を作っていきたいと思っています。

10年前はもちろん、5年前でも見えなかった形が最近少しづつ見えてきている気がします。

ADDICT CLOTHES
石嶋 聡