11/08/04 物作り

昨年末から発売が始まったADDICT CLOTHES NEW VINTAGEのレザージャケットは、
今までの私の経験やレザージャケットに対する情熱をご理解いただけているようで、
おかげさまで発売した物のほとんどがSOLD OUTとなっております。

NEW VINTAGEと銘打って作成、発売したことにも繋がるのですが、
本来ヴィンテージとか現行品とかのくくりはどうでもいいと思います。
かっこよくて、大金払ってでも欲しいと思えれば新品かヴィンテージかなんて関係ないですよね。
ただ人によっては古い物に惹かれ、また別の人は新しい最先端の物に惹かれるだけです。

現在ヴィンテージと言われ評価されているものと、
現在の一般的な製品の最も大きな違いは、時代背景による作り手の目的だと思います。
基本的にヴィンテージウェアはお洒落着ではなくギアです。本物のギアだったからこそ存在感があるわけで、
それはライダースジャケットはもちろん、ミリタリーでもワークでもスポーツでもそうですね。
それら古き良き産物の恩恵を受けながら、現在の製品のほとんどができているわけです。

私も今から10数年前にヴィンテージライダースに興味を持ち、どんどんはまっていったわけですが、
知れば知るほどヴィンテージに惹かれていきました。
元々私は新品の服に携わる仕事をしていましたし、元々全身古着みたいなスタイルは好きではありません。
古い物しか認めない懐古主義ではありませんので、
サイズや色が選べてヴィンテージに負けない近い物がないか色々探していました。
ただ私が探した限りではそれに見合うものはなく、ヴィンテージ一本になっていったわけです。
そんなこんなで何年も経つわけですが、徐々にある意識が芽生えてきました。

ヴィンテージの良さをそのまま残した新品のジャケットは今作ることができないのか? 
それとも誰もやっていないからこの世に無いのか? いつもこんなことを考えるようになっていきました。

それを確かめる為に金属パーツの業者に出入りしたり、革の勉強を始めタンナーに行ったりとするうちに、
今まではヴィンテージを見てきた経験で直感で考えていたことが少しず理論的にわかるようになりました。
過去にこのブログでも何度かこのようなことを書いていますので途中は省略しますが、
その後昨年末に第一弾を発売するに至りました。

今日現在、私の店に来て頂く方達は、年齢もファッションのテイストも着ているブランドもばらばらです。
ただ1つの大きな共通点があります。それは、ヴィンテージというキーワードに興味がある人です。
それはストレートにヴィンテージジャケットが好きという意味もありますし、
ヴィンテージジャケットは持っていないけど、ヴィンテージの雰囲気に興味が惹かれる人など様々です。
 
結果的に買ったか買わなかったかはお金の問題や欲しいモデルや色、
サイズが無かったりなど人によって違うと思います。
ただ全ての人に共通するのは、ヴィンテージがかっこいいと感じていることです。 
理屈や細かいことはこの際どうでもいいでしょう。
私が興味を持ち始めた当初このジャケットでこの色が欲しいな~ なんて子供のようにいつも考えていました。
限りある資源なので当時存在しなかったものは絶対に見つからないのがヴィンテージの宿命ですが、
新品で作成すればそれを自分の為にも同じヴィンテージファンの為にも叶えることができます。
そして私が作成するに当たって、2つの条件をクリアすることを前提としていました。

まずヴィンテージに興味があるけど、サイズやシルエットがヴィンテージは合わないという理由や、
価格の面でなかなかヴィンテージに踏み出せない方達に興味を持ってもらうこと。
しかもその中であまり今を入れすぎないこと。今を入れ過ぎるとヴィンテージではなく、
すぐにただの型落ち品になります。
次は今までうちでたくさんヴィンテージを買って頂いていた方達にも気に入ってもらえる物。
1つ目だけなら簡単に作れますが、これでは世の中にあるものと似てしまい深みがありません。
2つ目をクリアしてこそ、NEW VINTAGEとして良い物が出来た証拠になると思っていました。

結果的には昨年12月からの半年で色違い型違いを含めいろんなバリエーションを発売したのですが、
購入していただいた方は今までヴィンテージを持っていなかった方達も数多くいますが、
ヴィンテージばかり買っていただいていた常連さんにも多く買っていただいています。

物作りを始めて思うのは、自分がヴィンテージを収集して感じていたたくさんの喜びや興奮を、
自分の作ったジャケットで他の誰かを同じような気持ちにできればと思っています。

ADDICT CLOTHES NEW VINTAGE 
石嶋 聡