AD-13 SHEEPSKIN BRITISH EARLY MOTORCYCLE JACKET
今日は26日土曜日発売の新型ジャケットのご紹介です。
新型ということもあり今日はVINTAGEの話も加えながら少しマニアックにいこうと思います。
AD-13 SHEEPSKIN BRITISH EARLY MOTORCYCLE JKT
BLACK Size 34,36,38,40
イギリス製のヴィンテージライダースジャケットと言えば、
アメリカ製のジャケットとは違うシンプルさやスマートさが特徴だと思いますが、
こちらはエポレットにウエストベルト、背中のアクションプリーツにDポケット風ステッチ等、
レザー製モーターサイクルジャケットの発展、普及の早かったアメリカからの影響を色濃く受けているデザインです。
50年代にアメリカからイギリスに伝わったデザインとされていますが、有名なルイスレザーのブロンクスを初め、
ハイウェイマンやノーブランドと言われるようなメーカーでも当時作られていたようです。
複数の魅力的なディティールを持つデザインですが、
今まで数え切れないほどVINTAGE JACKETを販売した経験から言っても、
このスタイルは日本ではそれほどポピュラーなデザインとは言えません。
いわゆるアメリカ系Dポケットスタイルは日本でそれなりにポピュラーだとは思うのですが、
それではなぜこのブリティッシュジャケットはポピュラーではないのでしょうか?
古くからある理由として、まず日本人がジャストサイズで着用できる、着易い良い革のVINTAGE JACKETがほとんど無い為です。
昔の記事でも説明していますが、元々ファッションではなくギアであるVINTAGE JACKETは、
70年代以降タイトシルエットが普及し始め小さめサイズも増えてきますが、
古い時代の物ほど大きいサイズしか出てきません。
イギリス的なスマートなシルエットやディティールが好みの人が、
アメリカ的なディティールでサイズが大きいVINTAGE JACKETを着てもかっこいいと思うはずがありません。
一般的な日本人体系だと、実寸で36インチのVNTAGE JACKETをジャストで着られるならば、
多少好みはあるにしても、驚くほどかっこいいジャケットだとわかると思います。
VINTAGEで選ぶなら革はシープスキンか、重すぎず柔らかくてもアジのある牛革がベストです。
しかしこのような条件を満たすVINTAGE JACKETが見つかる可能性は奇跡に近い確立です。
そこで自分自身でもベストな1着を着たい欲求もありこの度作成を始めました。
同じデザインでも50年代~80年代と時代が新しくなるにつれ、
どんどんシンプルに細かなディティールは省略されていきます。
今回は資料として持っている、最高にかっこいいディティールだけどシルエットがむちゃくちゃな50年代のデッドストックからディテールを使い、
ADDICT CLOTHES NEW VINTAGEの素材とシルエットで再現してみました。
まずは敬遠されがちな背中に大きく入ったアクションプリーツですが、
幅を狭く取ることによって見た目のクラシック感、腕の可動性を確保しながらも、
いわゆる ”ダサイ” 感じにならないよう調節しました。
アクションプリーツは裾まで入らず初期のディティール同様腰上までなので、
着用時には良いクラシック感が出ます。
着用時にはベルトに隠れ見えませんが、ウエスト両サイドにはマチ付きスリットが入ります。
これがあることによってウエスト周りの可動性も高まり、見た目もよりオールド感が出ます。
フロントジッパーは上下開閉可能なダブルジップ。
NEW VINTAGEでは通常ライダースの裏地はコットンキルトの場合がほとんどですが、
このジャケットにはオールド感のあるオリジナルで作成したウールの千鳥格子を付けました。
そして最後が今回の目玉です。
細かい部分でたかがそんな事、と思われるかもしれませんが、
このジャケットを作るにあたってどうしても必要だったパーツです。
50年代に限らず、ウエストベルトが付くほとんどのイギリス製ヴィンテージモーターサイクルジャケットには、
革巻きのバックルとベルト側の角カンをジョイントする金属金具が存在します。
これがオリジナルですが、取り外し可能な為VINTAGE JACKETでは欠損していることが多いパーツです。
両面に刻印も入っていてさすがに古いイギリス物は芸が細かいですね。
このパーツを長い間探していましたが、今では需要がなく作っていないようです。
トレンチコートなどのベルト付きアウターでもベルトに革巻きバックルを直付けするのが当たり前です。
しかし、個人的には昔からブリティッシュべルテッドジャケットにはこのパーツが付いているものだと思い込んでいるので、
どうしても直付けが嫌で採算度外視になってしまいましたが、オリジナルでこのパーツを作成しました。
もちろんロゴは違いますが、しっかり両面とも刻印も入れてみました。
パーツが多く古き良き部分と新しくするべき部分のバランスで苦労したジャケットでしたが、
ADDICT CLOTHES NEW VINTAGEのオリジナルレザーで着易く、
古いディティールがふんだんに織り込まれた、とても良いジャケットに仕上がりました。
ぜひ実物を見て試着をして頂きたいジャケットです。
近日中にもう1つ新型ジャケットのご紹介をしたいと思います。
ADDICT CLOTHES NEW VINTAGE
石嶋 聡